国民国家成立のはるか前のことを現代の国民国家と直接結びつける論理的錯誤
2021年1月25日
2021年1月25日
2021年1月25日(月) 東京新聞 夕刊 文化面 谷村卓也記者による『ビジュアル版 考古学ガイドブック』(新泉社)の紹介記事から
考古学が扱う時代は、最古の石器が見つかった約二百六十万年前までさかのぼるという。だが、日本では「日本の縄文時代」と表現されるように、国民国家成立のはるか前のことでも現代と直接結び付けてアイデンティティーを語りがちだ。地表の下には日本史の土だけが詰まっているとの思い込みは人類史に対する視野を狭め、遺跡・遺物の恋意的な解釈や政治による悪用を招けば科学であることさえ危うくなる。そうした指摘は、書き手にも読み手にも重要な戒めとなる。
「自ら」=「国民国家」の分析が、「自ら」が基体化されているために、全て、「自ら」を修飾する言説に環帰してしまい、生成されたものとしての「自ら」という覚醒へは至らない、そのような状況を指摘していることになる。
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